ギャンブラーの破産問題の応用
Aがa-1枚Bが1枚のチップを持っているとする。彼らはコインを投げ表が出たらAのチップをBへ1枚渡し、コインの裏が出たらBのコインを1枚Aへ渡す
先にa枚のチップを得た方を勝者とする。勝者が決定したらまた、Aにa-1枚Bに1枚のチップを渡しこのゲームを繰り返す。K+1回目のゲームがN回コイン
を投げた時点で終了し、かつ、1~K回目までAが勝者となり、K+1回目にBが勝者となる確率は?
まず、この問題を1次元ランダムウォークに置き換えて考える。
時刻0に状態0からスタートしたランダムウォークが、状態aより先に状態-1へ到達するという事がおきて、その後、-1からスタートしたランダム
ウォークが状態a-1より先に状態-2へ到達する。以下同様の事が続いて最後は、状態-(K-1)からスタートしたランダムウォークが状態a-(K-1)
より先に状態-Kへ到達する。
この確率は次の式によって与えられます。
状態-Kからスタ-トしたランダムウォークが-K-1より先a-Kに到達する確率は次式となります。
したがってこのゲームをK+1回行い1~K回目までAが勝者となり、K+1回目にBが勝者となる確率は次式となります。
(式.1)
上式は、状態a-Kへの到達時刻ごとに場合分けできるので、次のような無限級数式に変換できます。
(式.2)
N=a+k+2m回コインを投げた時にk+1回目のゲームが終了し、かつ、1~K回目までAが勝者
となり、K+1回目にBが勝者となる確率は、この無限級数式のm項目です。
そこで(式.1)を(式.2)の形にするために(式.1)の分母、分子を次の様に変形します。
分母は、の形で展開されているので分母と分子の積におけるの項のn (mod a)は分子のm (mod a)により定まります。
したがって、の係数を定める分子の式(下式)におけるiは次の条件を満たす必要があります。
iが満たすべき条件
ai-i+k=n(mod a)
-i=n-k(mod a)
また、このiは次の条件も満たす必要があります。
(a-1)i+k≦n
ここで、この条件を満たすiでi≦aとなるものをtと表記します。すると、分母と分子の積におけるの項の係数は次の様になります。
上式のrは、この不等式を満たすiの最大値をi1,この不等式を満たすiの最大値をi2とした時、i1とi2を比較し小さい方を示す。
上式のuは、この不等式を満たすiの最大値をi1,この不等式を満たすiの最大値をi2とした時、i1とi2を比較し小さい方を示す。
p>qを仮定すると時刻0に状態0からスタートしたランダムウォークが状態x(x>0)へ到達する確率は1です。
したがって、時刻0に状態0からスタートしたランダムウォークが1~kステップまで-1に進んだという条件で初めて状態aへ到達した時刻がNである
という確率をPNkとするとqのk乗は、PNkの和として表現されます。(N=2K+a.2K+a+2.2K+a+4...)
N=2K+aの場合は、1~kステップまで-1に進んだ後、K+1~2K+aまで+1に進んだという道のみ存在します。
N=2K+a+2iの場合は
通りの道があります。
同様に、時刻0に状態0からスタートしたランダムウォークが1~n(n>k)ステップまで-1に進んだという条件で初めて状態a+n-kへ到達した時刻
がNであるという確率をPNnとすればqのn乗も、PNnの和として表現されます。(N=3n+a-k.3n+a-k+2.3n+a-k+4...)
N=3n+a-kの場合は、1~tステップまで-1に進んだ後、n+1~3n+a-kまで+1に進んだという道のみ存在します。
N=3n+a-k+2iの場合は
通りの道があります。
したがって、
と表現できます。
この事によって(式.1)を(式.2)へ変換する事ができます。
K+1回のゲームがN回(k+a+2i)コインを投げた時点で終了し、かつ、1~K回目までAが勝者となり、K+1回目にBが勝者となる確率は、
と下式の積となります。
トップページへ